分譲マンションの売却・転勤等による不動産売却について

転勤時にマンションを売却しようと決めたら考える事

分譲マンションを購入したのはいいけれど、急に夫の転勤が決まり、「マンションをどうしたらいいの?」と、何をしたらいいのか分らない主婦の方は多いようです。

今回は、マンションを売却しようと決めた場合において、どのような事を考えていかなければならないのかを解説していきます。

よく見る不動産売却のチラシでは「全てお任せ」すれば良いとしている場合もありますが、あとあと揉める事がないように夫婦間で詳細に至るまで十分話し合っておきましょう。

まず、マンション売却を決めた際には下記のような流れがあります。

1、住宅ローンがどれ位残っているのか?残積を確認しましょう。
2、転勤時期~最長売却時期の目安を出してみます。
3、不動産会社にマンション査定を依頼し、複数社比較を行いましょう。
4、出てきた査定と売却希望額を考慮して、マンション売買価格を決めます。
5、リフォームする・しないで、売買価格が変わる場合は検討してみましょう。
6、営業力・信用力がある不動産会社を決めて売却依頼を行ってください。
7、買い手が見つかったら、売買契約を行います。
8、マンション引き渡しを行います。

 

マンション売却について

上記のそれぞれのポイントついて解説していきます。ご自身の家庭の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。

 

1、住宅ローンがどれ位残っているのか?残積を確認しましょう。

まず、住宅ローンが残っているのか?完済済みなのかという事がマンション売却時において特に重要な点となります。
完済済みなら問題はありません。

もし、住宅ローンが残っている場合は、残債はいくらなのか?という事を確認する必要があります。
また、その住宅ローン残積はマンションが売れた時の金額と相殺できるのか、あるいは「マンションが売れた時のお金」と「今ある貯金」で完済が可能な金額なのかを試算してみましょう。
支払い可能であれば、売却も可能となります。

売却予想額が住宅ローンを大きく下回りそうであったり、住宅ローンが完済できそうにない場合は、売ることができなくなります。まだ、住宅ローンが残っているマンション不動産は、銀行などのローン貸主のものという考え方があります。

また、マンションを売却した際に、新たな買主との間で不動産登記の名義変更を行うのですが、抵当権が付いたままだと名義変更が行えません。

ですから、住宅ローンの借入先である銀行等が担保として設定してる抵当権を抹消出来なければ、売ることができない、という事になります。
それでも、売却したい場合は「買い替えローン」といった制度もあるのでそちらも検討してみましょう。

 

2、転勤時期~最長売却時期の目安を出してみましょう。

転勤が決まり、新生活スタートと共にタイミング良くマンションが売却できるとは限りません。また、マンション売却時期には「売り時」というタイミングがあります。
急に転勤が決まった時には、なるべく早めに売りたいと思ってしまいますが、タイミングを間違うと安く売却されてしまう可能性もあります。
また、売れなかった時のことも考えて、長めに売却スケジュールを組んだとしても、住宅ローンが残っている場合は注意が必要です。
新たな入居先家賃等の出費だけなら問題ないのですが、赴任先の新居費用と今まで住んでいたマンションの住宅ローンの二重支払いをしなければいけないため、長期で売却予測計画を立てる場合は、余裕を持った予算プランが必要となってきます。

転勤する時期によっては、マンションの売り時のタイミングではない事もある為、やはり現場のプロに意見を聞いてみるのが一番参考になるでしょう。
その際には、面倒でも不動産屋に足を運び、こちらの立場で考えてくれる信用のおける営業マンのいる不動産会社を選びましょう。

 

3、不動産会社にマンション査定を依頼し、複数社比較してみましょう。

住宅ローンがある場合は、特に実際の売却額はとても気になるところです。
まずは、地元密着の不動産会社に査定を依頼する事をおすすめします。
その次に、ネットなどで大手不動産会社に複数一括査定依頼をしてみましょう。
地元密着の不動産会社であれば、長年その土地の売買に携わり、地元ならではの不動産情報や知識が豊富です。
大手なら、資金力もあるため売却する際に便利な様々なサービスなどがあります。両方に査定を依頼して適正に販売してくれそうな不動産会社を選ぶ事をおおすすめします。

 

4、出てきた査定と売却希望額を考慮して、マンション売買価格を決めます。

複数の不動産会社に査定を依頼したら、おおよその販売金額が出てきます。希望する売却額と照らし合わせて、最低売却額~最高売却額を決めましょう。

不動産会社から教えていただいた査定は、あとからでも確認出来るように書面でもらう事をおすすめします。

また、実際は提出された売却査定額よりも、少し減額した金額で売れると思った方が良いようです。

5、リフォームする・しないで、売買価格が変わりそうな場合は検討してみましょう。

マンション査定では、築年数が重要な為、室内は汚れていても価格には影響しないとする不動産会社もあります。

ですが、やはりキレイな部屋の方が高値で売れる事は多いようです。

そのため、床の汚れ、壁の穴あき、壁紙の剥がれなどちょっとした修復を行えば見た目がキレイになる場合は低予算で行っておいた方が良いでしょう。

購入希望の方が見学に来る際には、特に念入りに床拭き・ほこり取りなどを行い、掃除を丁寧に行っておくと部屋の印象が良くなるのでおすすめです。

大規模なリフォームなどについては、購入後にリフォームを行う前提で物件探しをしている方が多い為、しなくても良いとする不動産会社は多いようです。

 

6、営業力・信用力がある不動産会社を決めて売却依頼を行います。

営業力・信用力がある不動産会社を見極めるには、一括査定依頼した際に、良いと思った複数の不動産会社へ不明な点などを積極的にお問合せしてみましょう。

きちんとした返事を返してくれるかどうか、疑問に誠実に回答していただける不動産会社かどうか等が分ると思いますので、その中から厳選していきます。

その際、営業マンにもノルマがありますが、だからといって急ぎ足で契約するよう促されたり、こちらの心配や不安を解消してもらえないような不動産会社は避けましょう。

もしかすると、売却後に何か問題が出るかもしれません。

その時に、しっかりと誠実に対応をしてくれる会社、信用がおける不動産会社を選んでおくと後悔する事もありません。

特定の不動産会社を決め、マンション売却依頼をする際には「媒介契約」という契約を交わす事になります。
媒介契約には3種類あります。
「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」といわれるものです。
「専属専任媒介契約」とは、1社限定依頼で自分で売買の相手を見つける事はできません。
「専任媒介契約」では、1社限定ですが、売買の相手を自分でも見つける事ができます。
「一般媒介契約」においては、複数の不動産会社に依頼でき、売買相手も自分で見つけることが出来ます。

一般媒介契約ですと、複数の不動産会社が関われる為、競争も高まりますが契約の拘束力が弱く不安定な依頼になり、売却への取り組みが希薄になりやすいようです。

専任媒介契約では、1社限定なので競争はありませんが、売却への取り組みが強くなるといった事があります。

それぞれにおいてメリット・デメリットがありますが、一般的には「専任媒介契約」で依頼する方が多いようです。

 

7、買い手が見つかったら、売買契約を行います。

マンション購入希望者が見つかったら、不動産会社との間で宅地建物取引士から重要事項の説明、売買契約書の確認等々を行い、売買契約締結がされます。

 

8、マンション引き渡しを行います。

引き渡しの際には、所有権の転移、抵当権の抹消、境界の確認、現地確認をし、完全退去をして物件を引き渡します。

基本的に、抵当権の抹消等など司法書士が行いますが、売主側で用意する書類もあるため不動産会社と必要書類等はきちんと確認を行っておきましょう。

以上、大まかな流れをご紹介しました。

スムーズなマンション売却を行うには、夫婦間で意見を合致させておくという事が重要です。

時間をとって夫婦間で、詳細までよく話し合っておくようにしましょう。

 

※ 住宅ローンが残っている場合

 

売却完了時に、住宅ローン全額を一括返済するという条件を満たせば可能となります。

基本的に家を売る場合、残っている住宅ローンは完済されなければなりません。そうしなければ抵当権が抹消できず、売ることができなくなるからです。

住宅ローンの返済予定表(もしくは残債が分かる書類)を見て(紛失したなら住宅ローンを借りている金融機関にもらいましょう)、住宅ローンの残債がいくらで、売却時に返済できるかどうかの確認しましょう。

マンションの売却代金をローンの返済に充て、足りない分を自己資金でまかない一括返済することで対応できます。

売却した金額で住宅ローンの残債を返済しきれない場合は、残債を含めた買い換えローンを利用して売却する方法や、住民税と所得税から売却損を控除できる優遇税制を利用できる場合があります。利用には適用条件がありますので、不動産会社の担当者にご相談ください。

不動産には3種類存在する

主に不動産には「居住用財産」「投資用財産 」「土地」があります。
居住用と投資用では何が違うの?
それぞれについてどのような不動産なのか、売却する場合においての注意点などをご紹介していきます。
持っている不動産によっては、売却した際に税金の特例を受けることもできます。
夫の転勤等でマンションや建物を売却・住み替えをする必要がある場合などは参考にしてください。

 

居住用財産

居住用財産とは、いわゆる「マイホーム」のことです。自分や家族が住む為に購入した、個人所有の不動産の事を指します。
購入者が単身赴任中で賃貸に入居しており、そこで生活していない場合でも、居住用とされます。また、同一生計の親族などが住む場合も居住用となります。
単身赴任先で新たに不動産を購入して住んでいる場合は、生活の場が高い方が居住用不動産とされます。
また、居住用不動産を売却する場合には、税金の特別控除などの特例が受けられます。
いわゆる「3000万円控除」と呼ばれているもので、マイホームを売った譲渡所得から最高3000万までが控除されます。
マイホームを売っても3000万円以下の譲渡所得の場合、確定申告を行い税金は0円となります。

 

投資用財産

投資用財産とは、個人で住む為のマンションや住宅等の不動産ではなく、人に貸すなど事業用の投資を目的とした不動産全般の事を表します。
事業用と言っても規模は関係なく、個人的に賃貸料・家賃収入を得る為に人に貸し出している不動産物件も対象となります。
定年後の収入源を持ちたい方や副業収入などを目的として購入される方も、近年は増加傾向にあります。
最近では会社員の方も、投資用不動産としてワンルームマンションや駅近のマンション等を購入し運営される方も増えているようです。
また、こういった投資用財産の売却時には、居住用財産の売却時と同じく確定申告を行い、所得税や住民税が課せられます。
ただし、居住用財産の売却時には受けられた「3000万円控除」などの適用はありません。

土地

土地といっても様々な種類があります。いわゆる「地目」と呼ばれているもので、宅地や畑、池沼、牧場、駐車場等々23種類ほどあります。
その中でも、家を建てる目的で購入される地目として多いのが宅地、畑、田、山林、雑種地です。
住宅用の土地の場合「宅地」での売買が主ですが、用途を変更する事も可能な為「畑から宅地へ」と転用し売却されるパターンもあります。
尚、土地の転用ができるといっても建築物を建てられない場合もある為よく調べる必要があります。
マイホーム売却の際は、3000万円の控除が適用されましたが、土地の場合は税金の特例が使えません。
ただし、マイホームを取り壊した後の土地の売却であれば、3000万円控除が使えます。

不動産を査定する方法とは?

転勤が決まったから家を売却したい、マンションを買い替えたいなどの時には、まず「マンションの価値がいくらなのか?」を評価してもらいますね。
この時、マンションなどの査定を不動産会社に依頼しますが、どのような事柄を基にして査定が算出されるのでしょうか?
下記にて、3つの査定方法を解説していきます。
また主に、マンションなど個人が所有する住宅不動産を売却する時には「取引事例比較法」「原価法」という査定方法が用いられるようです。

取引事例比較法
「取引事例比較法」とは、不動産価格を決める際の手法の1つです。
取引事例比較法に基づいて算出された金額は「比準価格」といわれます。「比準価格」は、基本的に「不動産鑑定評価基準」を基に算出されます。
例えば、売却したいマンションがあった場合、近隣地域の不動産や近隣地域と似たような類似地域との比較など、対象となる不動産と条件が似た複数の取引事例を基に価格が求められます。
また、道路交通量や騒音状況、あるいはその不動産の日当たりや築年数・広さなども参考にして対象不動産の相場価格が算出されます。
尚、一括査定を依頼した際に、どの不動産会社からもだいたい同じ金額帯で査定されてくるのはこの為です。
土地の場合は、その土地がある地域要因の比較や地域の取引事例、個別的要因等から比較され相場価格が出されます。

原価法

原価法は、対象不動産の建物や建物および敷地である場合に、再調達原価や原価修正を行うことができる場合において有効な不動産価格を求める際の手法の1つになります。
再調達原価から原価修正を行い、出てきた価格が「試算価格」と呼ばれます。
再調達原価というのは、不動産の価格判定の基準日において、対象の不動産を一旦更地にして新たに造り直した場合、いくらかかかるのかという価格になります。
減価修正では、建物の破損や老朽化、設計不良や近隣地区の経済的環境などを考慮し、上記の価格からいくら価値が減少しているのかが算出されます。
これらを基に試算価格が求められます。

収益還元法

対象の不動産から、将来得られるであろう収益を基に不動産価格の評価を求める際の手法の1つになります。
この収益還元法によって算出された価格は「収益価格」といわれます。
また、収益還元法には、直接還元法とDCF法があります。
直接還元法では、一期間の純収益を還元利回りで還元し、収益の将来的予測やリスク等考慮された上で収益価格を求められます。
DCF法は、収益資産の価値を評価する方法の1つですが、不動産以外にも投資プロジェクトなどの価値を算出するためにも使われます。
多くの場合、収益還元法というのは、賃貸用不動産や事業用の不動産の価格を求める際に用いられます。
投資用のマンションや不動産に対して、将来的に高い収益を生むと算出された場合は査定額が高くなり、反対に将来的にも収益性が低いと評価を受ければ査定額は低くなります。